WAV と MP3 の違い

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一方は標本値をすべて残し、もう一方はその大半を捨てます。その違いがどちらをどこで使うかを決めます。どちらが優れているか、という話ではありません。

この二つの違いは微妙なものではなく、そして実のところ音質の話でもありません。WAV は録音された ままの標本値をすべて保持します。MP3 はその大半を捨て、あなたの耳が気づいたはずのものについての 記述だけを残します。容量も、互換性も、どちらの音が良いかという議論も、すべてこの一点から 出てきます。

まず数字を見ると、残りが腑に落ちます

通常の CD 相当の設定なら WAV は 1,411 kbps、つまり 1 分あたり約 10 MB です。3 分の曲で 30 MB。同じ曲を 192 kbps の MP3 にすればおよそ 4.3 MB、7 分の 1 ほどになります。1 時間の WAV は 600 MB 前後です。WAV がメールで送れない形式で、MP3 が送れる 形式なのは、これが理由です。

この 7 対 1 は圧縮の小細工ではありません。録音のうちどの部分をあなたが聞き取れなかったはずかを 符号化器が判断し、それを保存しないというだけのことです。控えめにやれば誰も気づきません。強くやれば 誰でも気づきます。

WAV ファイルをページ上で MP3 に変換したところ
変換ツールの画面録画。WAV ファイルを読み込むと、表示部に入力形式・出力形式・ファイルサイズ・長さが表示され、赤い「変換」キーが押され、分割されたメーターが埋まり、表示部に「保存しました」と出る。

WAV が正解になるとき

  • まだ作業の途中である。編集、ミックス、修復、時間の伸縮など、音声をもう一度 加工するものすべてが該当します。非可逆の符号化はどれも前の回が残したものを相手にするので、 その手前の段階が欲しくなります。
  • 何かがそれを要求している。DAW、サンプラー、DJ ソフト、そして古い機材の多くは WAV しか読みません。これは互換性の理由であって、音質の理由ではありません。
  • それが原本である。何も捨てられていない録音を一つ残しておけば、将来どんな形式 が来てもそこから作れます。MP3 しか残さなければ、以後作るものはすべて複製の複製です。

MP3 が正解になるとき

  • 他の人が開く必要がある。MP3 はどの音声形式よりも多くの機器で再生できます。 カーステレオ、安価なプレーヤー、アップロード欄、2004 年に書かれたソフトウェアまで。
  • どこかへ送る必要がある。メール、チャット、ウェブサイト、空き容量のない携帯。
  • 加工ではなく、聴くためである。192 kbps 以上なら、通常の機器で聴くかぎり たいていの人は違いを聞き取れなくなります。

知っておく価値のある落とし穴

MP3 を WAV に戻しても、何も復元されません。ファイルを生の標本値に復号するので、容量はまた大きく なり、どの編集ソフトでも読めるようにはなります。しかし MP3 の符号化器が捨てたものは失われており、 どんな復号器もそれを作り出せません。とはいえ編集の直前には本当に役に立ちます。以後の加工が圧縮の上 に圧縮を重ねなくなるからです。音質が上がるわけではなく、そうだと言う道具があれば疑ってかかる理由が あります。

逆も同じです。128 kbps の MP3 から作った 320 kbps の MP3 は、128 のものより良くは なりません。大きくなるだけです。

実際にどうするか

WAV があるなら残しておき、送るときや再生するときにそこから MP3 を作る。規則はこれだけです。 WAV を MP3 に変換するのは数秒で終わり、サーバーではなくこのページの 中で実行されます。ソフトウェアがどうしてもと言う場合の逆方向はこちら です。

もし気にしているのが互換性ではなく容量なら、この二つのどちらも与えてくれない第三の答えが あります。FLAC は標本値を一つも変えずに WAV をおよそ半分にします。 何も差し出さずに小さくできる唯一の方法です。ただしファイルは MP3 よりずっと大きいままで、再生 できるものも少なくなります。

「CD 品質」が実際に指しているもの

1,411 kbps という数字は、三つの値を掛け合わせたものです。1 秒あたり 44,100 の標本、 1 標本あたり 16 ビット、2 チャンネル。どれか一つを変えれば容量も一緒に変わります。24 ビット・ 96 kHz で録ったスタジオ用の WAV は 4,608 kbps、CD の 3 倍以上で 1 分あたり約 34 MB になります。制作用のフォルダがすぐ膨らむのはこのためです。

MP3 にはこれに当たるつまみがありません。上限は 320 kbps で、ふつうは 44.1 か 48 kHz で 動きます。ですから 24 ビットの原盤から作っても 16 ビットから作っても、MP3 の容量は同じです。 余分な解像度は作業中には効きますが、符号化した瞬間に消えます。

見積もりに使える容量

  • 1 分 — WAV 約 10 MB、192 kbps の MP3 約 1.4 MB
  • 3 分 — WAV 約 30 MB、MP3 約 4.3 MB
  • 1 時間 — WAV 約 600 MB、MP3 約 86 MB

実務上たいていの議論はこの数字で片が付きます。1 時間の取材音声は、どのメールサーバーも受け付け ない 600 MB の WAV になるか、ほとんどが受け付ける 86 MB の MP3 になるかです。話し声なら どのみち 128 kbps まで下げるので、58 MB 前後に収まります。

WAV が苦手な、ただ一つのこと

WAV は標本値を運ぶために作られた形式で、それ以外をほとんど持ちません。曲名、アーティスト、 アルバム、ジャケット画像を入れる本来の場所がないため、WAV へ変換するとそうした項目は消えがちで、 録音した時点でもともと存在しません。MP3 はそれらをすべて ID3 タグに持ちます。音楽ライブラリが MP3 だらけで、制作用フォルダが take_04_final_FINAL.wav のような名前の WAV だらけに なるのは、半分はこれが理由です。

MP3 と決めたあとにどのビットレートを選ぶかは、 それ自体が別の話です。

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